TBGの力学

 この頁では、TBGというゲームを、物理学なかでも力学の分野から分析することを試みます。TBG愛好者のお一人に、H製作所を退職されたSHさんという方がおられます。その方とTBGを通じて知り合いになった時、川口がTBG発祥の地であることから話題が発展し、川口からTBGについて情報発信をしたいとの思いが一致しました。そのSHさんは得意分野からTBGを力学の面から分析してみたいという趣旨の話をされました。その後この思いに着手されたとの話をされていましたが、現在進捗状況の確認ができていません。筆者には、これまでこのHPを通じて精神面を中心に冗談交じりに情報発信していますが、その力学面については、ほんの一面に限って発信するのみでしたが、最近理論的な面からも情報発信することで、皆様とご一緒にスキルを向上していければとの思いが募ってきていました。こんな小難しいことを知らなくても、プレーを楽しむことはできるといわれそうですが、筆者にはTBGに関する力学を知ることでTBGに対する視野が開け、スキルアップのスピードに大きな違いが生じそうだという思いに至りました。そこで、密かにため込んできたものを少しづつ発信し、皆様のお力をお借りしてでも楽しんでいただける内容にできればと思っています。なお、筆者の誤解があればご指摘いただけるのを期待しつつ、多くの方々からご意見をお寄せいただけることも願っております。

力14-0 (  ♪♪ 力にも 変化の時代 到来だ ) 

 私達の「脳」は本能的に筋肉を「収縮・弛緩」する方法を知っています。それは腕を持ち上げる際には力コブを収縮し、筋肉を弛緩させることで腕を下ろします。そして、脳にとって収縮することは比較的簡単なことですが、収縮したまま維持し続けるとエネルギーを費やすことを知っており、弛緩することは苦手だといいます。そこで苦手なのをいいことに、私達は、「弛緩」に当たるトップからフォローにかけて腕を使って力づくでスウィングしてしまいがちになります。それがミスにつながっていくことの元凶だというのです。そこには、誰にも共通して存在する「重力、慣性力、遠心力」という「力」の存在など上の空になりがちです。この力を使うのにリスクが伴うという意識はありません。これからは省エネスウィングを目指し上記の力を有効に使いましょう。それは、バックスウィング以降、究極の省エネスウィングとなる「クラブの動きたいように」スウィングすることで、慣性力と遠心力を活かし余分な力を入れることなく重力の助けを借りて肘を曲げて筋肉(上腕二頭筋)を緩めることだけを考えていくことです。その際、ゆったりとスウィングする事だけを考えて練習すると、肩から肘にかけて腕を鞭のようにしならせながらスウィングできるようになります。また補足になりますが、クラブとシャトルがインパクトを迎えるときのクリアな音を聴くようにしてリズミカルにスウィングすることも忘れないようにしましょう。スウィングとはこんなに簡単なことだったのかと、力の使い方にも変化の時代が来たのかと、あなたの目からウロコが落ちることでしょう。

力0-0 ( ♪♪ 力学を 友にできれば  Don't worry「心配ご無用」! )

 あなたは、日頃TBGのプレーで使用している道具のことをどのくらい考えておられるのでしょうか。ここにこそ貴方のスコアを左右する秘密が隠れているのだとしたらどうでしょうか?これから、数回に分けて、クラブのことシャトルのこと等について力学の面からご一緒に確認していきましょう。あなたの今後のTBGのプレーに光明をもたらしてくれることを願っています。 

力0-1 ( ♪♪ 何事も 言葉を知れば 理解でき )

 新しい分野のことを知ろうとすると、言葉の壁にぶつかります。そこで挫折せず言葉の意味を理解することに挑戦する心を持つと、長々とした説明を聞かずとも本質を理解する道が開けます。なかでもTBGに関する力学を説明する際の参考となる言葉も実力アップに役立つのです。これから時々出てきますので、パッシブトルク、フォース、シャローイング、ネットトルク等もこの際覚えてしまいましょう。パッシブトルクとは、グリップに力を加えた時にクラブが重心を中心として回転しようとする力のことです(クラブのシャトルのねじれ強度のことをトルクといいますが、これとは異なります)。フォースとは、腕なかでも手を通じてグリップ(クラブ)に加えられる力のことです。シャローイングとは、ダウンスイングの切り替え(スタート)時点でクラブを寝かせて(開くように)シャフトの角度を浅くすることで、フェースを閉じながら降ろしやすくすることで、クラブを早くスイングプレーンに乗せやすくしてくれる力です。ネットトルクとは、スウィングにおいてクラブが様々な方向に回転しようとする力のことをいいます。これらの言葉は、機械工学で「順動力学(フォワードダイナミクス)」(〇〇ミクスに似ていますね)のことを説明する際に使われ、クラブ等に力を加えた時に接点となっているグリップにどんな力がかかってどう動いてくれるのかを解明していきます。 

力1-1 (  ♪♪ ボールには こんな秘密が 隠れてる )

 TBG愛好者の方の多くは、球技である野球のこともご存知のことと思います。野球では(今高校選抜大会が開催中)プロが使用する硬球というボールの直径は約72mmです。ゴルフで使用されているラージサイズのボールが同46mm、TBGのシャトルは、球部が同40mm(羽根が65mm、全長105mm)です。このサイズは、これら三者のプレーに大きな影響を与えています。プロ野球においてバットで打たれた打球は、100m超の外野フェンスを越えますが、あのエンゼルスの大リーガー大谷翔平選手が先日大飛球を記録したとされる140mがせいぜいです。ゴルフでは、クラブで打たれたボールは300mを記録するプロが何人もいます。では、TBGではどうでしょうか。男子の力自慢でも30mをクリアする人は少数です。兄弟関係にあるゴルフと比較すると、それぞれのコース事情を如実に反映していることに気づきました。ゴルフコースは全長1万mTBGは1千mで、前述の飛距離と見事に比例しています。ではボールの重さはどうでしょうか。野球の硬式ボールが140g弱ゴルフが46g弱となっていますが、TBGはほぼ28gです。これらの違いがおいおいプレーに大きな違いをもたらすことになることに触れておきます。

力1-2 (  ♪♪ クラブには 英知の結晶 詰まってる )

 野球ではバットが、ゴルフとTBGはクラブが体との唯一の接点になっています。ご存知のようにバットはI字型、一方ゴルフとTBGはL型の様相を呈しています。クラブのフェース面は若干上を向いて(ロフト角がついて)います。野球はピッチャーが投げてきた動いているボールを打ち返すのに対し、ゴルフとTBGは地面にある静止しているボールを打ちます。ここに打つタイミングは大きな違いがあることが確認できます。ゴルフとTBGには、自分で動かすようにしなければゲームが始まらないことが野球との大きな違いになります。何を判り切ったことをとの沢山のお叱りの声が聞こえてきそうですが、ここに大きな考えさせられる点があります。TBGやゴルフではアドレスを取ったままいつまでもタイミングが掴めずにジッとしている人もよく見かけます。また、地面におかれたボールを打とうとする際、バットでボールを高く打ち上げることは至難の業で、TBGやゴルフではボールを高い軌道を描くように打っていくには、クラブにつけられているロフト角があることが重要なのです。あなたがクラブを何の手加減もせずに素直にスウィングすれば、クラブはボールが自然に空中高く飛んでいくように設計されています。そのためあなたがボールを高く上げようと力む必要はないことになります。逆にボールを上げようとするとミスになることを念頭において下さい。籠入れがそのいい例で、地上にあるボールを50cm以上高く上げようとしてスウィングするとミスになるといわれる所以です。クラブは何も言ってくれませんが、力学の英知が詰まった道具であることに信頼を寄せ、私達は余計なことをしないに越したことはありません。あなたが愛しているクラブはあなたの期待を決して裏切ることはありません。さらに打球面を見てください。それは、バットが円筒状であるのに、クラブのフェースは平らであり、バットにはその延長線上に重心があるのに、クラブはシャフトの延長線上に重心がないことが大きな功罪をもたらしていることを別途確認していきます。

力1-3 (  ♪♪ 有効打 その方向が 大違い )

 私達が打っていくボールが静止しているか止まっているかの違いも大きく影響するのですが、野球では、いわゆるヒットになるボールは前方90度以内に打っていけば良く、そのうえ、外野には例外もあります。内野に一度落ちたボールは、外野でラインを超えてもフェアとなり、飛ばしすぎても外野のフェンスを越えればホームランという幸運もあります。それに引き換え、ゴルフやTBGには、OBラインの設定がありボールが止まった位置がOBライン外であればペナルティが付与されます。打球面をみると、バットは筒状であることにより、主にボールが当たる位置で、フライ、ライナー、ゴロという打球の高さが決まります。打たれたボールはそれを処理するプレーヤーのミスも誘うことになりフェアになったり、ファインプレーでアウトになることもあります。空振りしても、キャッチャーが捕球ミスをして振り逃げにより、ランナーとして出塁ということもあります。極端な例としては、バットを前に振っているのにボールが後ろに飛んでしまうこともあります。それに引き換え、クラブはほぼ平らな面でボールを打ちますので、打ち出されたボールはとりあえずは前方向に飛びますが、止める場所は狭いフェアウェー(TBGではほぼ3m程度)以内に収めていかなければなりません。OBをフェアにしてくれる協力者もなくすべて自分の責任となります。力学により説明しなければならないのですが、ゴルフではさらにボールにかかるスピンという大きな問題があります。ボールにフックやスライスというスピンがかかることは、野球にも近いものがあります。さらに、ナイスショットをしても籠やホールをオーバーしたらOBとなることもあり、飛球方向と飛距離がスコア作りには欠かせませんが、野球では好結果となるホームランはゴルフには許されないのです。力もちの代表格ともいえる力士が必ずしもゴルフの上級者にはなりえない所以でもあります。力は使い方が大事であり、使い過ぎ(パワハラではなく)にはくれぐれも注意しましょう。 

力2-1 (  ♪♪ フェース面 芯に当てれば 心地よく )

 ゴルフクラブのフェース面には、クラブに書かれているわけではないのですが、重心があります。は、手でシャフトを持った状態でフェース面にコンコンというようにボールを当ててみると、衝撃がなくなる部分があります。そこがいわゆるフェースの芯に当たるのです。クラブの構造上、その芯の若干内側の上部にあたる空間にクラブ全体の重心があります。重心と芯が若干ズレていることに重要なポイントがあります。芯に当たったゴルフボールは、力学のなせる業により、スピンがかかり若干ドローがかかった弾道となり、クラブが設計された目的通りの性能が生かされるのです。ターゲットに向かって方向性に優れていて力強く飛んで行ってくれます。当然風にも強いボールとなります。一方、フェースの先端トゥ側に当たると、ボールの重さに負けてフェースが開くことになりボールは弱々しく右方向に飛びだします。逆に、フェースの手元(ヒール)側にボールが当たると、フェースがかぶってくることになりボールはここでもスピンの影響で左側に飛ぶ傾向があります。極端なほど手元側となるネックに当たってしまうといわゆるシャンクとなりボールは極端なほど右に飛び出します。これらの状況をもたらす原因は、クラブの重心により力学が働くことで、ボールに一秒間に数千回転といわれる程のスピン(回転)がかかることになり打球には致命的ともいえるほど大きな影響を与えるのです。しかしTBGでも同じ傾向を示すのですが、TBGのシャトルボールはわずか28gの重さしかなく、羽根がついていることでTBGのシャトルにはほぼ100%スピンがかかりませんので、TBGでは意識的なドローボールやスライスボールは決して打つことはできません。更に、籠周りだからといって飛びすぎが怖くてスウィングを弱くすると、シャトルは50cmの高さにまで飛びあがれません。そこで籠入れの際、フェースを開き気味にして大きなスウィングをすることを心がける必要があます。またトゥ側にボールを当てることは、打球の勢いを殺してあげることになり大変有効な技術の一つといわれています。まだ経験のない方はぜひお試しあれ!!

力3 -1 (  ♪♪ ニュートンも 想定外の タ―ゲット )

 TBGで使用するクラブはどう動くのかを考える場合には、力学とくにニュートンの運動法則という偉業を無視するわけにはいきません。その法則を復習しますと、①第一法則「力の作用を受けない物体は等速で直線運動を維持するか静止し続ける(慣性の法則)」 ②第二法則「力が物体に作用すると力の向きに加速度を生じる。その大きさは力の大きさに比例し質量に反比例する(運動方程式)」③第三法則「作用と反作用は大きさが等しく向きが逆である(作用反作用の法則)」の3つです。この3つの法則を理解することは、とりもなおさずTBGの技術向上に役立ちます

力3 -2 (  ♪♪ 慣性を 理解した人 無理しない )

 慣性の法則を理解した人は、スウィングで無理をする必要がないことがお判りになっている方です。野球では、ピッチャーが投げてきたボールを打ち返すことになりますが、静止しているTBGのシャトルボールを活性化させるのはあなた自身しかいません。TBGでは、あなたが動かさないことには、いつまでたってもゲームがスタートしません。アドレス後に時間を使いすぎると同伴競技者から大なり小なり非難の声が飛んできます。それでもシャトルは動き出しません。アドレスに入った後は、スムーズにスウィングに入りましょう。再度いいますが、コースでジッと静止しているシャトルボールはあなたのご指示があるまでいつまでも健気に止まったままでいます。その際あなたが動かすわずか28gのシャトルボールを打っていくのにはたいした力がいらないことはご理解いただけるでしょう。かつての会社の上司を想定して打つような力はいりません。ゆっくリズムを意識して優しくスウィングしていきましょう。筆者が日頃から反省していることですが全く力む必要はないのです。

力3 -3 (  ♪♪ 運動の 方程式から 学べます ) 

 野球では、勝利の方程式でもあるかのように元巨人軍のNさんが使い始めたようなこの方程式」は、直線運動方程式と回転運動方程式に2分されます。直線運動方程式は、直線運動エネルギーのことで質量と加速度を掛け算して得られるのです。質量または加速度が大きいほど大きな直線運動エネルギーが得られます。回転運動方程式は、回転運動エネルギーのことでナーシャ(抵抗と呼ばれ、グリップに与えられた力によりある程度回転して降りてくることでグリップにかかる抵抗)と角速度(一定の方向に与えられた速度)との掛け算となります。スウィング時には、クラブにトルクといわれる回転する力が加わってきますが、あなたは余計なことを考えずに、スウィング時にこの力をうまくため込むことでクラブがしてくれる仕事の邪魔をせずにエネルギーがターゲットに向けられるように手助けしてあげるにとどめることがポイントです。しかしいくら大きなエネルギーが与えられたとしても、OB方向に向けられたのではエネルギーが生かされることにならず、結果として決してスコアに結びつくことはありません。 

力3 -4 (  ♪♪ 動くには 考えてほしい 反作用 )

 力を一方向に出そうとすると、その逆方向に同じ大きさの力が働きます。この同じ大きさの力が反対方向に働くということに目を向けてみます。力を出しすぎれば、あなたの体はその力に耐えきれずに体幹がぶれてしまいます(ここには日ごろからの訓練にあり体幹をしっかりさせておくことの必要性が潜んでいます)。ここでは、エネルギー保存の法則も関係します。もし、静止しているシャトルボールに僅かなエネルギーでクラブを打ち込んだとすると、クラブはそこで止まってします。わずか28gのボールを打つ程のエネルギーであれば、その作用でシャトルボールだけが方向性を維持できないほど弱々しく飛んでいくことになります。シャトルボールが静止したままでいようとするエネルギーを上回るくらいの適度な力をあなた自身がクラブに与えるだけで十分だということです。それが方向性のよい生きたボールとなってターゲットに向かって飛んでいってくれることになるのです。くれぐれも、シャトルを打ちぬいたとたんにクラブが反作用によって止まってしまわないように振り抜いていってください。    

4-1 (  ♪♪ ターゲット 風向きじっくり 考えて )

 シャトルを運ぶターゲットを決めるにあたっては、コースにたなびいているのぼりなどを参考にして、風向き風力をしっかり把握しましょう。打ち出されたシャトルボールには、その方向(上下・左右・前後)に力学が働きます。時間の経過とともに、打ち出し直後に与えられた方向性は持続されるのですが、じわじわと風の力が働いて方向を変えることになります。誰もが理解しているように、シャトルは着地地点では風の影響が最大に働き、風に流されるように方向を変えています。別の言い方をすれば、飛球弾道と飛距離を考慮した風の影響度合いを計算して打ち出し方向を決定しなければならないということです。低く打ち出されたシャトルボールは、進行方向への力が強く働き風の影響は少ないのは当然です。高く飛び出したシャトルボールには非情な程強い風の影響を受けますので大きめな読みを入れる必要があります。ここで問題なのが、低い打球にしたかったのに、ボールが大きく舞い上がってしまうことがあります(強く打ち出すと概して高い球になる傾向があります)。逆に高い球で風の恩恵を受けようとしたのに、クラブが振り抜かれた方向等により低い球筋になってしまうと、大きく風読みをしたことが災いしてフェアウェーに戻ることなくOBラインを超えてしまうこともあります。TBGもミスのゲームといわれていますので、何事も適度にということです。あらかじめミスを想定して保険(保険料はかかりません)をかけておくということも大事です。

力4-2 (  ♪♪ アゲンスト それが悩みの 種になる )

 日常生活でもフォローの風が吹いているときは、何をやってもよい方向に流れていくものですが、アゲンストの風はいろいろ問題が起きがちです。TBGでも例外ではありません。アゲンストの風は普段よりも飛距離が落ちます。非力な筆者には少しのアゲンストの風にも手を焼きがちです。ついつい力が入ってしまうのです。結果は言わずもがなのミスショットとなります。アゲンストの風は距離が落ちて当たり前という想定の下にショットするように心がけましょう。また、意外と理解が及ばないのがまともなアゲンストのケースです。いったんシャトルボールが曲がりだすと、左右どちらに曲がるのかの予想がつかないのです。ゴルフでは、どちらに曲がるのかが分からないまっすぐなボールを打つよりも、インテンショナルに曲げるボールの方が曲がりを計算しやすいといわれる所以です。まともなアゲンストの風にはくれぐれも注意を怠ることのないようにしましょう。ただ良いこともあります。アゲンストの風にシャトルボールを当てに行くようにすれば、籠入れの時の距離感は意外と計算しやすくなってきます。フォローの風では、飛びすぎるリスクが大きいため籠入れが難しいのとは逆に、アゲンストの風にはこんな利点もありますので、練習場で試しておきましょう。

力4-3 (  ♪♪ 横風も 味方にすれば ハッピーに )

 横風も、ライン取りをしっかり決めていくと味方にすることが可能です。まず、第1打についてですが、ティグラウンドの左右どこからショットをするかはあなたの自由です。右からの風を想定した場合、ティグラウンドの右からコースなりにショットしていけば、打ち出しと同時に風が左にシャトルボールを運んでくれます。強い風の場合には、コースの右OBに向けてショットする選択も有効です。ティグラウンドの左端から右方向にショットすれば、打ち出し直後は風と喧嘩させるショットになります。この風と喧嘩させるショットは、飛びすぎのリスクが少なく、結果的に風の計算が楽になるように感じています。当然風のない時と比較して飛距離は落ちますが、いずれの選択も慣れることでコースを広く使えることになります。ただし、高く打ち出すほど風の影響を強く受けますので、読みすぎると風の強さが変わった時にけがをすることになるのはどの場合も同じです。男心(女心?)となんとやらで、何事も状況判断が大事だということです。    

5-1 (  ♪♪ 私にも 引力決して 無視できぬ )

 打ち出されたシャトルボールには、常に地球の引力というあのニュートンが発見した実に偉大な力が働きます。打ち出し直後には上に向いていた力は、徐々に下降方向にと向きを変えます。高く打ち出されたシャトルボールは、着地時点ではほとんど下向きの力しか残っていません。当然、着地したら数バウンドでそこに止まってしまうことでしょう。ところが低く打ち出されたシャトルボールは、進行方向の力が若干残って着地しますので、地面をすべるようにバウンドを繰り返しながら止まることになります。意図的につけられた上下左右の傾斜など、バウンドする地点のライも考慮することをお忘れなく。特に籠まわりに奥行きがない場合は、オーバーしたシャトルボールがOBになるリスクも考えておきましょう。そのようなシチュエーションにおいては、例え籠入れが成らなかった場合でもOBにだけはならないように、多少高めの弾道で打ち出していくのがお勧めです。        

力6-1 (  ♪♪ 飛ばすのを 遠心力が 助けます )

 素振りの時に確認しやすいことですが、クラブのフェースに注目すれば、フェースは円に近い軌道上を動くのが分かります。そこで円運動をすることでクラブにはどんな力が働いているのか見ていきます。そのポイントは遠心力です。この遠心力は、クラブフェースがシャフト軸に重なろうとする動きを見せることで重心が下がり、ロフト角を寝かせて(角を大きくして)シャトルボールを飛ばす役をしてくれます。一方で、ヘッドに遠心力がかかることで外側に向かってヘッドがひっぱられるような力が加わり、クラブの方向を変えてターゲット方向にシャトルボールを運んでくれる働きをします。簡単に言えば、遠心力がかかることで、私達が意識しなくても、クラブ自体が勝手にボールを捕まえてシャトルボールをターゲット方向に飛ばしてくれる働きをしてくれるのです。このように、野球で使われているバットにはないのに、ゴルフやTBGのクラブには素晴らしい設計が施されていますので、プレーヤーはその働きを阻害しないように優しく扱ってあげる度量があることが期待されているのです。優しく接することは、何事にも利点があるものです。

力7-1 (  ♪♪ 目力を 有効利用 しませんか? )

 目(眼)は素晴らしい 力 を持っています。 視力といえば、動体視力と瞬間視力等があります。車を運転される方は耳にされたことがあると思いますが、車のスピードを上げると、目の前に広がる左右の景色があまり見えなくなります。普段はほぼ180度素晴らしい景色を楽しめる(静止視力)のに対し、高速でドライブしているときは、45度以下の範囲しか見えなくなって(周辺視力とも言います)しまいます。つまり動いているものを連続して追い続ける動体視力が落ちてしまうというのです。ここで動体視力は左右水平方向の視力( DVA動体視力:スピードを出したときあなたが認識できる左右の視野が狭くなること )と前後方向の動きを識別する視力( KVA動体視力:スピードを出したとき近づいてくる物体との距離を認識しづらくなること )と呼ばれるものに分けられます。また瞬間視力とは、一瞬で数字や図形などを識別して記憶する能力のことで、動体視力とともに、訓練することである程度向上させることが出来るといわれています。この 動体視力と瞬間視力を向上することで私達のTBGのスコアをアップさせてくれることが期待できます。その向上策はビジョントレーニングといって、ゲーム感覚で画面と対峙して行うトレーニング法があります。ところで、最近話題になりつつある ハンド・アイ・コーディネーション をご存知でしょうか。簡単に言えば、スウィングする時 手と目を連動させ空間を認識するように共同作業をさせましょう ということです。その方法は、究極的には ショットの前の 素振りで芝を擦るようにするだけだというのですが、それだけで手と目の空間認識を共有させてくれるといわれ、 後は素振り通りにショットするだけでいいそうです。いたって簡単なので早速実践してみましょう。筆者のうしろから、 「素振りと同じようにショットすることが出来れば苦労はいらない 」という 素振りシングルさん の声が聞こえてきました。

力8 -1 (  ♪♪ スウィングは 六つの動きの 組合せ )         

 私達の体には、驚くほどの柔軟性があります。冬季オリンピックでも、スノーボード特にハーフパイプで信じられないほどの技(トリプルコーク1440)が披露されていました。私達が毎日楽しんでいるTBGでは、この体の動きを六つに分けて動きを分析しています。その聞きなれない六つの動きとは、「①上下軸に沿った動きとしての屈曲・伸展(lift)②左右軸に沿った動きとしてのスライド(slide) ③前後軸に沿った動きとしてのスラスト(thrust)④上下軸を中心として回る動きとしての回転(turn) ⑤左右軸を中心として回る前傾・後傾(bend) ⑥前後軸を中心として回る側屈(side bend) 」です。アドレスからフィニッシュまでおよそ2秒ほどの間にこれらが複雑に絡み合ってスウィングがなされることになります。私達の体には関節があって、それぞれ動く方向が決まっているのですが、それぞれには可動域というものがあります。それはけが等によって体の一部の損傷がある方であれば異なるのですが、Aさんにとってベストであっても、Bさんにはワーストということもあります。あなたにとって、これだという再現性の高い動きを見つけましょう。

力8-2 (  ♪♪ タイミング 合えばベストの 伸展に )         

 スウィングにおいてはリズム・タイミングは日によって微妙な違いがあります。そのため、賢明なあなたはラウンド前には、その日の体調をチェックするために軽く練習されていることでしょう。その練習はいつものリズム・タイミングが出来ているかどうかを確認するために行っていると思料します。大会前は、間違ってもスウィングを直すことを目的にはしないようにしましょう。なかでも①屈曲・伸展は、体をこごめたり伸びあがるような体の上下の動きのことで、インパクトにあわせて前傾していた体が起き上がるような動きをインパクト前に行うと、球部にフェースのブレードが直接当たるトップとなったり、インパクト前にマットをたたいてしまうダフリとなるように、概して良い結果をもたらすことはないようです。しかし、インパクトのタイミングがピタリと合うと、打球により大きな力を伝えることが出来るので、絶対的に悪いという事ではないという人もいるにはいるのですが。

力8-3 (  ♪♪ 左右への 動きは自然に 任せよう )           

 スウィングの中で、飛距離を出そうとの意識がそうさせるのか、体を大きく左右に揺すっている方を見かけます。バックスウィングで右足に体重を乗せようとしたり、フォローでターゲット方向に体を動かしていくようにです。一方、バックスウィングでは、沈み込むかのように頭をターゲット方向に落としているようになっている方もいます。これらは明治の大砲と呼ばれ、ギッタンバッコンのスウィングになっているのです。このような動きは、体重移動を意識しすぎているのが主な原因のようです。右方向への重心の動きは、体幹の回転のなかで意識しなくとも自然に起きてくるのです。バックスウィングで左肩が右足の上まで回るのであれば、体重は確実に右足に乗ってくるので、芯が感じられないほど体全体が右へ動いていくことにはなりません。フォローでも、逆C型にならない程度に左足で壁を作る意識で体を回転していけば、自然に左足の上で体重を支えることになります。左右の余分な動きは、クラブがスウィングしようとする力を減殺することになり、慣性力が生かされず当然飛距離は出なくなってしまいます。過ぎたるは及ばざるがごとしといわれるとおり、動きすぎは飛距離を生んでくれません。

力8-4 (  ♪♪ 前後への 動きはバランス 悪くする )          

 スウィング後あなたはナイスショットの余韻を楽しむようにすんなりと立っていることが出来ていますか。バランスを崩すことが多いという人は、その原因の多くはアドレス時の前後の体重のかけ方や力みすぎるという問題がありそうです。またアドレス時のボールとの距離に問題があるということもあります。ボールの近くにアドレスすると、インパクト時にのけぞるようなショットになったりダフリになりがちです。またボールとの距離が遠いと、前のめりのショットになったり、トップボールが出がちです。いずれにしても、スウィングバランスが悪いことが原因です。土踏まずのセンター付近に体重が乗るようにすれば、スウィング時に多少力が入ったとしても、バランスを崩すことはなくなるでしょう。その際、前傾姿勢が前後の動きを助長していることもあります。ボールにお辞儀するほど前かがみとなっている場合にはつま先体重となっています。反り返るようなアドレスならカカト体重になっているのです。アドレスは偉そうに見えるほどどっしりと構えるようにしましょう。このアドレス時の構えは、あるゴルファーはその場でジャンプして着地した状態がベストだといっているようです。時々TV放送の際にその光景を見ることが出来ます。試してみる価値は充分にありますよ。

力8-5 (  ♪♪ スウィングは サイド・ベンドで うまく行く )      

 スウィングで何か足りないという意識があるのが、このサイド・ベンド(側屈)にあるのではないかと思われます。スウィングで、体を横に回す(回転)だけではクラブヘッドがインサイド過ぎる位置に上がっていくだけで、何時まで経ってもクラブは上に上がっていきません。そこで、腕を縦に使ってクラブを上げていこうという気になるのですが、側屈という動きを意識するだけで、この腕を上げ下げしようという意識は持たなくてすむのです。それが側屈が手助けしてくれるということなのです。腕を固定した状態で回転し、単に側屈を加えるだけで、クラブはインサイドに入っていくことなく自然にバックスウィングを完成させてくれるのです。意識的に腕を上げようとすると、どこまでどのようにして挙げていったらいいのか迷います。上体を側屈するということは、大きな筋肉を使うことになり、自然と再現性を高めてくれます。まずは、直立した状態で、腕の前でクラブを持ち、正面を向いたまま左へ側屈してみましょう。その状態で肩を回せば、器用な小手先を使うことなく手とクラブは自然に上がっていきますよ。こうすることで、スウィングはますますシンプルになっていきます。如何にしたら無駄なエネルギーを使わずに再現性の高いスウィングができるのかを考えることは決して損をすることにはならないはずです。

力8-6  (  ♪♪ それぞれで 動きの組合せは 変えて良い )       

 私達の体は、誰一人として同じではないといいます。生まれてから60年以上の間にはいろいろなことがあったことでしょう。持って生まれた体も違うようにです。それだからこそ、前述の六つの動きの組合せも人それぞれ違って当たり前なのです。バックスウィングは、六つの動きの中でもターン、サイド・ベンド、リフトとスライドの組合せでトップオブスウィングが完成するのです。絶対的なものがないからこそ、あなたがこれまで培ってきたスウィングがベースになります。インパクト、フォロースルーに至るまで、六つの それぞれの動きをどのタイミングで、どの位、どの方向に採り入れていけばあなたに合ったスウィングにすることが出来るのか試行錯誤を繰り返し、あなたに最適な組み合わせを探り出してください。これからの長い?TBG活動にきっと大きな力になってくれることでしょう。

力9-0 ( 直線は 引いて書ければ きれいだよ )            

 筆者は過去にグラウンドに引こうとした白線を、まっすぐ引けなかったという悲しい記憶を持っています。修正には、倍以上の時間がかかってしまいました。なぜ曲がってしまったのかといえば、直線を真っすぐに引くということは、意外と難しいことだったのです。そこには、以外に思われる方が多いと思われますが、力学に通じるものがあるのです。

力9-1 ( 身近にも こんな例が ありますよ )             

 日頃あなたが乗っている車は前輪駆動でしょうか? 雪道でハンドルがとられることがあると思いますが、後輪駆動ですと、直進するのが非常に難しいということが分かります。それは、まっすぐ進むのに後輪で押すのは理にかなっていないということなのです。その点、前輪駆動で車を引っ張るようにすると、安定的に前進することが出来るのです。また、日常的に文字を書く際にも、線を引くようにすればまっすぐな線を書くことができます。これも力の入れ方に無理がないことを証明しています。この事実を活かして、TBGのスウィングでも、クラブを引くようにして動かしていくと淀みないスウィングができるということが理解できるのではないでしょうか。これからは、バックスウィングでは、クラブを右手で引くようにしましょう。そして、フォローでは左手で引くようにすることが合理的なのです。これからは、スウィング全体にわたって、常にクラブを引き続けるようにすれば、思いのままにシャトルを思った方向に運んでいけますよ。

力9-2 ( ♪♪ スウィングを 楽にするのは 重心に )         

 スウィングの再現性を高めるのは、クラブを安定的に構想通りにまっすぐ引くことにあります。その際考えておかなければならないのが「重心を意識すること」にあると考えています。クラブの重心辺りを右手でクラブを引くようにすると、クラブは立ったまままっすぐ右に移動します。それでは、右手でグリップを持って同じように右に動かすとどうなるでしょうか。グリップは右に動きますが、ヘッドは左に残されるように遅れて斜めに右に動いていくのがお判りになるでしょうか。この動きも力学に則っているのです。この力をスウィングに生かさない手はありません。アドレス時にグリップを左に動かす(フォワードプレス)ことでスウィングを開始するようにバックスウィングに入れば、手首を操作(コック等)することなく右手で引っ張るようになり、安定的にクラブが理想的な位置に上げることが出来できるようです。また、トップからの切り返しでは、コックを意識することなく、ヘッドの重みを感じながらインパクトに向けて動き出せます。

力10-0 ( 羽根により 放物線が どう変わる? )           

 物理学では、外部の力が加わらない限り、一度動き出した物体はいつまでも動き続けるといいます。それでも、身近な動きを考えるとき、引力は無視できません。上に打ち出された物体は、引力により放物線を描き地上に戻ってくるということはあなたも納得できるでしょう。そこで野球で打ち返されたボールを思い出してください。そのボールは放物線を描いて飛んでいくことはありません。また、最も遠くに飛ぶのは45度に打ち出されたボールではないのです。物理学で打ち出されたボールは放物線を描くというからには、打ち出し角は45度の場合が最もボールを遠くに運んでくれる打ち出し角度であるはずです。どういうことなのでしょうか?

力10-1 ( 羽根にむけ 風の抵抗が かかります )           

 その最たる原因が、シャトルについている羽根にあるということはご理解いただけるでしょう。ゴルフボールには羽がないこと、そしてインパクト時にスピンがかかることで、TBGのシャトルとゴルフボールとの間には、一部共通点があるものの、あまりにも大きな相違点があり、飛び方には似て非なるものがあるのです。インターネットによりゴルフボールの飛び方に関するシミュレーションを試みることが出来ます。初速、ボールの直径・質量、射出角度、風速等を入力すると、ボールの最高点、飛距離を計算することが出来ます。そこでは、打ち出されたボールは放物線を描いていないことが確認できます。しかし、残念ながら羽根がついているTBGのシャトルに置き換えてのシミュレーションを試みることはできません。スピンがかからないことの影響もしかりです。射出角度によるTBGのシャトルの最高点が高くなり飛距離も出ますが、羽根がついていることによる風の影響を受けやすいという欠点もあります。以上諸々のことを考慮すると、暫くはフェアウェーが狭いことの制約への対応や必要以上に高いボールへの対応は、練習により掴まなければならないようです。TBGを分析できるシステムを開発していただける方をご存知ではないでしょうか。

力10-2 ( 参考に なるのが身近な バドミントン )          

 身近にバドミントンというスポーツがあり、シャトルの形状がTBGのシャトルに似ているということから参考になることがあるかもしれません。我がTBGについては、残念ながらまだまだマイナーなゲームという域を出ないことから、その分析がされていません。ところが、バドミントンについては、力学の面でもかなり分析結果が報告されています。その一つにシャトルの「空力特性」があります。バドミントンのシャトルは、地面から離れたところから打ち出されること、プレー領域が狭いこと、室内でプレーされることが多いなど、TBGとの相違点が多々あることは否めませんが、バドミントンには、スマッシュやハイクリアと呼ばれる2種類の特徴的なショットがあります。スマッシュは、主に肩より高い位置から相手コートに打込むショットのことであり、初速は旅客機の離陸速度に相当する250~300㎞/h(69~83m/s)といわれるにもかかわらず、ネットから約6.7mのエンドライン内に着地したときには、速度はゼロ近くにまで減少しています。このゼロまでに減少する原因は、シャトルが打ち下ろされることに加え羽根がついていることで大きな空気抵抗を受けることにあります。一方ハイクリアにおいては、腰辺りから打ち上げられたシャトルはエンドライン付近まで飛んでいきますが、羽根の影響で放物線を描くどころか落ち際ではほぼ直角に着地します。この飛び方は、TBGのシャトルの飛び方を分析するうえで、主に屋外でプレーすることでの風の影響が異なるとはいえ、かなり参考になります。TBGのシャトルは常に地上から打ち出されます。似ているシャトル形状であるとはいえ、バドミントンとTBGではシャトルの球部と羽根の重量分布、大きさ等は見た目でもわかる通りかなり違っています。バドミントンの分析・解析を参考にTBG独自の力学分析が求められていると感じる今日この頃です。

力10-3 ( 判ります? シャトルについた 穴の数 )          

 先に掲載したバドミントンのシャトルには穴(スロット)がついています。バドミントンでは羽根の外側に加え、このスロットを通してシャトルの内側にも空気の流れができ、シャトルの飛び方に微妙な変化が生じます。では私達のTBGのシャトルはどうなっているのでしょうか?あなたは、シャトルに空いている穴の数がいくつあるかご存知ですか?シャトルの羽根は、大きく5つのブロックに分かれています。その一つのブロックにはさらに大きく3つの部分に分かれています。その一つのブロックには、三つの大きな穴が三つずつ(合計9個)あります。さらに大きなブロックの先端には小さな穴が二組(それぞれ20個)あけられています。つまり、1ブロックに大中小29個、羽根全体にはなんと245個もの穴が僅かな狂いもなく(?)あいているのです。バドミントンでは、強弱を伴って渦を巻くように風の流れが出来ているという分析がされています。TBGのシャトルにも、今は定かではない風の渦が生じているのは間違いありません。クラブフェースとシャトルとが理想的なインパクトによりショットされれば、安定した飛びが保証されるのではないかと想像できますが、ここまで見えてきたので、芯を外した時のシャトルの飛びへの影響まで分析・解析したいのですが、どなたかこの分析・解析ができる方をご存知ないでしょうか?TBG発祥の地川口からに限らずこれらの情報開示ができる日が早く来るようにしたいとの思いがますます募ってきている筆者です。(但し、自分のプレーにおける実力がそこまでたどり着けるかは別の問題ではありますが、きっと上級者のあなたのお役に立つことが出来るものと思っています)

力11-0 (シャトルには 風と手を組む いたずらが! )         

 TBGには風がつきものです。厄介者の風であるとはいえ、筆者は風がない時のプレーには魅力を感じません。それだけに、風がシャトルに与える影響度合いを考えることには大きな意味合いがあると考えています。左右からのいわゆる横風、前後の追い風・向かい風がありますが、それぞれの特徴から、その留意点を見ていきます。

力11-1 ( 横風は 読みすぎすれば ミスになる )           

 河川敷、海岸沿い、あるいは広い公園などでは風を遮るものがないことから、市街地では考えられないほど強い風が吹きがちです。隣のホールに向けてショットしてもフェアウェイをキープできないケースもあります。だからこそ、その風を攻略したときの満足が得られるのだといわれ、TBGの醍醐味と豪語されている方もいます。それには、横風の強さの読みが必要なのですが、必ずしも常時一定の強さで吹いてくるとは言えないので、あなたのショットの弾道の高低も考慮して、読みすぎないようにしたいものです。高い弾道をめざすにもかかわらず、ミスショットにより低い弾道となってしまうことで予定していた風の恩恵を受けられなくなるリスクもあります。

力11-2 ( 追い風も 気を抜くあなたに 災いを )           

 追い風といえば、一般的には良いことを想像するかもしれませんが、気を抜くと足元を掬われかねません。追い風に乗せられたシャトルは持ち前の飛距離をはるかに超えるところまで飛んでいき、実力が上がったと勘違いしてしまうかもしれません。左右へのブレ幅が大きいとフェアウェーの幅に収まらないだけでなく、特に籠入れではオーバーによるOBになりかねません。風力を甘くみてはいけません。更に、翌日以降のプレーにおいてはこれまで培ってきた距離感を見失う事にもなりかねません。ここで注意したいのが、強い追い風には、ゴルフでいうところの「おじぎ(ドロップ)」による飛距離のロスというものもありますので、ご留意ください。

力11-3 ( 向かい風 あなたにとっては 追い風か? )         

 向かい風は、距離の長いホールではよい印象を持っていない方が多いのではないでしょうか。特に、まともな向かい風のショットは、いったん曲がりだすと、手が付けられないほど左右どちらのOBラインをも超えてしまいます。しかし悪いことばかりではありません。壁として使うこともできます。高めで大きなショットによる籠入れを目指すことで、籠の上から垂直に落とすことを画策することが出来ます。このショットでの飛びすぎの心配は不要といえるでしょう。ここで気を抜きかねないのが、飛ばそうとすることによる力の入れすぎです。過ぎたるはなお及ばざるがごとしといわれるように、この時とばかりの力の入れすぎはミスのもとです。

力11-4 ( 一様に 吹く風とても 変化あり )             

 風を読むのは難しいものです。コース内にはいろいろな変化を生む条件が転がっています。私達が使用するシャトルの羽根の部分には、風の影響を受けやすい構造、特にスロット(簡単にいえば穴のこと)が空けられていることによりシャトルの羽根の内側に風の流れが出来ます。そこに流れる風の空気密度や湿度は流れている場所によっても変わります。風が吹き抜けているところや、風をせき止めるように生い茂った林、民家の脇など、ホールのどこに微妙なトラップがあるのかこの状況を判断してシャトルをフェアウェーに運ぶ保険をかけておきましょう。

力12-0 (  ♪♪ クラブには 刀に通じる 物理あり  )

 TBGのコースにいたときクラブを置いた場所を忘れた方に「武士たるものが刀の置き場所を忘れたのか」と笑われたという話を聞きました。何気なく聞き流していたのですが、合点がいきました。刀といえば薙刀も同様なのですが、刀身がまっすぐでなく先端が反りかえっているのはご存知だと思います。それはクラブと同じように、あの曲がりにより重心の位置が道具の中にないことになっていたのです。クラブはL字型になっていて、重心が空中にあることは過去にも記載してきたとおりです。刀も薙刀も刀身が反りかえっていることにより、重心がその道具の中にないことはお察しのとおりです。このことから、時代劇の場面で刀や薙刀の使い方を思い描いてみるに、押すようにして使おうとしてもその威力は発揮できません。これらは引くようにしないとその性能を存分に発揮することができないのです。クラブも同じように重心の位置が空中にあることから、押して使うようにしてもその性能を活かせないことになるのです。そうです、クラブはスウィングの最中は常に「引くように」しないといけないのです。クラブは適度な重さしかない道具であることから、押しても引いても自由に動かせるだけに、手や腕だけでも自由に動かそうとしがちですが、その性能を活かすには重ねて言いますが「クラブは引くように」しないといけないのです。引くようにすると、思い通りにスウィングできるというお墨付きがもらえるのです。目からウロコの想いで、今晩はゆっくり眠れそうです。

力12-1 (  ♪♪ ユルユルの グリップクラブ 活かす元 )

 常に引き続けることでクラブの性能が生かされるといいました。その際大事なことが何かというと、グリップを緩く握るようにすることです。グリップの握り方には、大きく分ければストロング、スクウェア、ウィーク、ベースボールの4通りがあります。筆者はスクウェアを推薦したいところですが、どのグリップでもあなたにあっていれば問題ないといえるようです。その際グリップの強さに注目してほしいのです。クラブを強く握ってしまうのはやめましょう。緩すぎるのではないかと思われるほどユルユルに握ってください。強く握れば、クラブが動こうとすることに力づくで制限を加えることになります。クラブが手から抜けていかない程度にしっかり握ることは必要なのですが、ギュッと強く握るのは厳禁です。クラブの重心を意識することが出来るようになれば、クラブヘッドが走った力強い素晴らしいスウィングになります。

力12-2  (  ♪♪ リード持つ 犬の散歩に よく似たり )

 よくしつけられた愛犬は、主との散歩にも足元の近くで寄り添うように散歩するといいます。自分が通る道筋を覚えているのです。こんな愛らしい犬でも、時には気をそらされる時があり、コースを外れてしまいそうになることもあるようで、首輪にリードをつけておくことが欠かせないようです。この時、リードを持つ手に力を入れると犬の動きが制約されて犬は暴れてしまうかもしれません。リードは愛犬の機嫌を損なわない程度に柔らかく握って引っ張るようにするに限ります。この光景は、私達のTBGにおけるスウィングによく似ていると思われます。クラブの性能を見ると、胸の前で左の指でグリップの先端を摘まみ、右の指でヘッドを持ってみてください。そこで右の指をヘッドから離すと、左の指を支点としてクラブのヘッドは何度繰り返しても同じ円弧を描きます。慣性の法則に則りクラブの通り道が決まってくるのです。ここで、左手を左方向に引いてみるとどうなるでしょうか。ヘッドの勢いが増していくことが分かると思います。しかし、左手に力を入れると、この円弧は微妙にずれてしまいます。先ほどのリード同様にグリップを摘まむ指に力を入れず、クラブのグリップ部分を左に引くようにすると、グリップ部分を動かさない時よりも安定した軌道で「最下点で最もスピードがつけられ」ヘッドが走るようになります。グリップを引くように動かすことがあなたが目指す理想的なスウィングにつながるのです。

力12-3  (  ♪♪ スウィングで グリップ引けば ナイスショット )

 グリップは常に引くようにしましょうとお話をしてきました。クラブヘッドを地面に垂らしたクラブを右から左へ動かす場合、グリップを押すようにすると軌道が安定せずに曲がった線を描くようになります。しかし、グリップを引っ張るようにすると直線的にクラブが動くようになると説明してきました。スウィングにおいてバックスウィングまでは、どのようにクラブを上げても大差ありませんが、ダウンスウィングに入ってからは、グリップを常に引くイメージを持ち続けることで安定したスウィングが可能になり、理想的なインパクトを迎えることが出来るのです。ここでも、グリップに余計な力を入れると、軌道がズレる原因になります。スウィングの主役であるクラブがこの軌道で動きたいといってくるのですから、あなたはグリップを持った手はクラブの邪魔をせずそっと添えるだけにし、クラブの意思を損なわないようにしましょう。これが力学的に理想的なスウィングをするコツではないでしょうか。

力13- 0   ( ♪♪ 重心を 感じることで ランクアップ )

 普段のあなたは、ショットの際の手にどんな衝撃を感じているのでしょうか?これまで何度も、アレ(流行語大賞ではありません)っと思うほどシャトルが当たった衝撃を感じなかった体験をしたときがあったのではないでしょうか。そのときあなたはクラブの芯付近でシャトルをとらえていたのです。そこがほぼほぼフェースの重心に当たるわけで、そんな体験をしたあなたはワンランクアップしたことになっていたのです。

力13-1  ( ♪♪ スウィングも 重心知れば 軽やかに )

 フェースの芯をとらえた時にシャトルの衝撃を感じないようになると、次の段階として、何時になくクラブが軽くなったように感じるときが必ずきます。それはあなたが、フェースの芯だけでなく、「クラブの重心をコントロール」できるようになりつつある証左といえるのです。前回の物理学で述べた「クラブが動きたいようにスウィング」できるようになってきたのです。スウィングは物理学で説明できるといってきたのですが、体で「クラブが軽く」なったと感じたのであって、とりもなおさず、クラブを引っ張る方向に重心が乗っていくように、発生した遠心力が余分な力を加えることなくスウィングに生かせるようにステップアップしたということなのです。ここで手や腕が悪さをして力が入ると、せっかく正しい軌道に乗ってきたのに軌道がズレてしまうのです。こんなショットをしたいと考えるのはあなたの演出力ですが、くれぐれもスウィングの主役はクラブであるということを忘れないようにしましょう。

力13-2  (  ♪♪ 効果あり 連続素振り 20回 )

 女子プロゴルファーAMさんがやっていた素振りでのスロースウィングは、スウィング作りに有効だそうです。それにプラスしていただきたいのが、クラブフェースの芯をとらえることが出来てきたり、クラブが軽くふれるようになったと感じたあなたに、さらに一つ追加していただきたいのが連続素振りです。まだ軌道が安定しなかったり、シャトルを前にするとスウィングが変わってしまったりする人にも絶大な効果があるのが連続素振りです。あなたがせっかく掴んだその時のスウィングを思い出して、正しいクラブ軌道の安定化に活用しない手はありません。左右に連続して20回を目途に繰り返しましょう。シャトルなしの自宅でもできる連続素振りにはスウィング作りの効果は効果は絶大です。